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子どもが生まれるころ、僕は湘南(鵠沼海岸)に引っ越しました。
小田急線と東海道線で東京まで40分くらいで通えるし、週末のリラックス感はハンパなかったし、海も水族館も近くで、自然のある環境で情操教育にも良さそうで、通学区の学校も落ち着いた雰囲気で安心できた。

そこから沖縄に引越し、さらに沖縄本島で2回引っ越した。

長女(現7歳)からすると、生まれてからすでに4つ目の住まいになる。

その都度その都度、通学区の教育環境や、学校以外の教育環境、生活利便性など、妻とあーでもない、こーでもないと結構時間をかけて検討した。
高校生にあがるくらいまでは、自宅と学校を中心としたせいぜい車で10分程度の範囲が子どもの世界のほとんどを占めることになるので、いろいろ悩むことが多い。

シニアも人生の締めくくりの時期は、自分が住んでいる地域の近隣(せいぜい車で10分~15分程度)が世界のほぼすべてになる、ということを理解している人は実はあまりいない。

セミナーでは必ずこの話をするようにしているのだけど、初めて聞く人は「きょとん」とハトが豆鉄砲をくらった反応をする。
考えてみれば当たり前のことなんだけど、自分の行動範囲を拡大して人生を送ってきたことから考えれば、自分の行動範囲がどんどん縮小していくことに想像が及ばないのは当たり前かもしれない。

そう。せいぜい車で10分~15分程度の範囲内にある社会資源と共に、人生の幕を下ろしていくことになる。
介護が必要になれば、その範囲にある介護施設に人生のほとんどを委ねることになる。

これは真剣に考えると、子どもの教育環境のために住む場所を考えていたことよりも、さらに真剣に考える必要がある事柄だと思っている。

教育環境は、人生のまだ序盤でいくらでもそこからリカバリーのしようはあるけれど、人生の締めくくりは、泣いても叫んでも一度だけ。

10kmさきに、日本一のデイサービスがあっても、日本一の訪問介護があっても、現実的に使うことはできない。

今までいくつもの地域の介護力向上に尽力されている事業者さんを訪問してきて、
「ここの近隣に住んでいる人たちは、安心だし、幸せだな~」
と思うことも多々あった。

そうなのだ。裏返すと、
「こんなに素晴らしい事業者さんがいる、ということをもっとして欲しい」
という意味もあるのだ。
この事業所さんがあるから「施設」なんかに入らないで大丈夫だ!と私なんかは思うけど、地域の人たちはきっとそのことを知らないから、「介護が必要になったらどうしよう。施設は高いし・・・。」とか余計な不安を抱いている人がきっと少なくない。

「だからみなさん、近隣の介護施設にボランティアとかお手伝い行ってね!」
というと、みなさん「行く行くー!」となるし、「どこに聞けばいいのー?」と、とても生き生きする。

そうなると、その地域のケア力は上がっていき、介護に従事する職員の給与や働きがいや質は上がっていく。

地域のシニアが自ら地域に興味を持てるかどうか?主体的に関われるかどうか?が、これからの地域の介護の質を左右することは間違いのない事実。

まさに、その土地に「骨をうずめる」のだ。

「今、住んでいるところで、将来受ける介護の質は決まっているんですよ」
ということを、多くの人に伝えて欲しい。

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佐藤順一郎 オカゲサマ@伴走者

あなたがいるから、(おかげさまで)私がいる。 「横並びのかかわり」を研究しながら、いろいろなプロジェクトに首を突っ込んだり、突っ込まなかったりしています。

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